現在の建設業許可の取得要件について
毎年のように建設業法が改正され、建設業許可の取得要件も変更されていますので、ここで一度まとめてみました。(令和5年8月16日現在)
現在、建設業許可を取得するには大きく分けて5つの要件があります。
1.経営業務管理責任者がいること |
2.専任技術者がいること |
3.自己資本が500万円以上あること |
4.営業所があること |
5.社会保険に加入していること |
その中でも今回は特に重要な、
○ 経営業務管理責任者がいること ○ 専任技術者がいること ○ 自己資本が500万円以上あること
についてご説明したいと思います。
1.経営業務管理責任者がいること
そもそも経営業務管理責任者とは、建設業許可を受けようとする法人または個人事業主の中で、経営業務を行う責任者のことをいいます。
これは誰でもなれるわけではなく、一定の経営業務の管理責任者としての経験が必要となります。
経営業務の管理責任者としての経験について、北海道知事許可の要綱に記載の文章を見てみます。
経営業務の管理責任者としての経験を有する者とは次のA~Cのいずれかに該当していることが必要です。
A 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること(規則第7条第1号イ該当)
(a) 建設業に関し、5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(b) 建設業に関し、5年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験を有する者
(c) 建設業に関し6年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
B 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。(規則第7条第1 号ロ該当)
(a) 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者。
(b) 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等として経験を有する者
C 国土交通大臣が1又は2に掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した者
かなりわかりづらいですが、要約すると
原則、建設業を営む法人・個人事業主で、5年間の役員の経験または5年間の個人事業主の経験がある者の在籍が必要になるということです。
そしてこれは、許可を受けようとする法人・個人事業主の代表者以外の方でも、経験さえあれば経営業務管理責任者になることができます。
2.専任技術者がいること
建設業許可を受けるためには、許可を受けようとする業種に関して一定の資格または経験を有する技術者の在籍が必要になります。
資格または経験について、一般建設業許可のコード表を掲載いたします。
これも少しわかりづらいですが、建設業の種類に対応する「1」「4」「7」の記載のある資格または経験が必要となります。
そして経営業務管理責任者と同じように、代表者以外の方でも一定の資格または経験さえあれば、専任技術者になることができます。
3.自己資本が500万円以上あること
一般建設業許可を新規で取得する場合、財産的基礎があることとして「自己資本が500万円以上あること」が必要になります。
時々、お客様から「資本金が500万円以上ないとだめなんでしょ?」と聞かれることがありますが、必ずしもそういうわけではありません。
自己資本とは、
法人の場合、直近の決算の貸借対照表の「純資産の部」の合計額となり、
個人事業主の場合、直近の決算の「期首資本金+事業主借+事業主利益-事業主貸」の合計額となります。
そして自己資本が500万円以上ない場合には、取引先金融機関で500万円以上あることを証明する預金残高証明書を発行してもらうことで、この要件を満たすことができます。
建設業許可の申請に関しては、他業種の許可とは違い求められる要件も多く、複雑であるというのが現状です。
これは、建設業は一般に取引金額が大きいこと、多くの人々の住まいや社会的インフラを支える産業であること、そのため簡単に倒産すると影響力が大きいこと等の理由により、他の業種ではあまり見られないような経営経験の要件を課したものと考えられます。
言い換えると、それだけ社会的責任が大きい業種であり、その一方で日本の社会を支える重要な仕事であるということができます。
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