令和5年10月からの「年収の壁」対策について②
「年収の壁」対策の1つとしてキャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)の概要が公表されました。
以前からあったキャリアアップ助成金に新しく追加される形となりましたが、掲載されているリーフレットやパンフレットを見ても、相変わらずわかりにくい内容だなと思います。
社会保険適用時処遇改善コースは、一定の要件を満たした企業が、①新たに従業員を社会保険に加入させ「社会保険適用促進手当」を支給した事業所、②労働時間を延長し新たに従業員を社会保険に加入させた事業所に助成金を支給する制度となっています。
助成額は労働者1人につき最大50万円となっておりますが、満額受給するのに2~3年程度かかる見込みです。
特に注意すべき点として、このコースの制度に着手する際に、キャリアアップ計画書の届出、就業規則の作成または変更が必要となります。
「社会保険適用促進手当」の支給には、社会保険料の標準報酬月額・標準賞与額の算定には含めないことになりますが、所得税や住民税、労働保険料については含めることになります。
対象企業については、社会保険の特定適用となる従業員数101名以上の企業のみを対象にした助成金と思われていましたが、100名以下であっても対象になるとのことです。
なお、令和6年10月からは、社会保険の適用拡大により、従業員数が51名以上の企業に勤めている方についても、特定適用の対象となりますので、来年以降活用を考える企業が増えていくのではないかなと思います。
10月30日以降の相談窓口開設までは最寄りのハローワークで問い合わせを受け付けるとのことですが、まだ詳しい内容が下りてきていないというのが現状です。
キャリアアップ助成金の支給手続きには時間がかかることが想定されますので、制度の対象となり活用できるかどうか、検討を進めておきましょう。
社会保険労務士・行政書士 松本行政事務所